パッセンジャーズ
<あらすじ>
悲惨な旅客機事故から生存した乗客たちのカウンセリングを任されたセラピストのクレア(アン・ハサウェイ)
患者たちの食い違う証言、旅客機会社の不穏な動き、連絡のとれない姉。カウンセリングがうまく進まない中、身の周りでもおかしなことが起こり始める…。
<感想>
1.メロドラマですか?いいえ…
パトリック・ウィルソン演じるエリックの行動が不気味で気持ち悪い。
躁なのは分かりますが、医者の私生活にずけずけ入り込んで来たり、わざと自殺未遂のような危険なことをしたり、構ってちゃんウザ、クレアもこんなの構うなよと印象最悪でした。
クレアもクレアで、最初はカウンセリングに苦心している姿を見て応援していましたが、なぜかそんな気持ち悪いエリックといい仲になり、ちょ、お前、何してんだよと置いてけぼり状態。アン・ハサウェイ好きなのに、こういう役柄もらっちゃったのか…と同情するほど。しかしいらだつ展開も全て、ラストに向けての布石だっととは思ってもいませんでした。
2.色んなハテナが一気につながる時
クレアとエリックのまるで夢の中のようなご都合展開。職場と自宅の往復、場面の転換の少なさ。陰鬱で湿っぽい、でも美しい、いやに人のいない町。体を通り抜ける電車。
まさか最初から死者の世界を見せられていたとは。
気づいた時には前半で感じた不快感がすべて吹き飛びました。
だからエリックとクレアは異常な速度で惹かれ合った。だから航空会社のアーキンは沈んだような顔をしていた。だからあの時ああだったのだと、全ての謎が一気につながりました。
気持ち悪いって思ってごめんエリック。馬鹿女って思ってごめんクレア。そうとは知らなかった…でも知ってしまったら、何もかもただただ悲しい…。
3.悲しい感動
一番感動したシーンは、クレアが姉・エマの家で真相に気づき叫ぶところです。
「エマ!エマ!」と姉宅の閉まったドアの前でクレアは叫び、くずおれます。
姉がいなくなったんじゃない。自分が姉(生者)の世界からいなくなったんだと分かるのです。そしてアーキンが出てきます。
機長のアーキンは作中で常に「事故はパイロットの責任だった」と言っていました。その意味が分かります。操縦そっちのけでCAとイチャついてました。でも責める気にならないのはなぜでしょう。自分の行いを反省しきった者に、誰よりも悲しい顔をしている者に、かける罵声は見つかりません。
爆発し、壁が剥がれ、逃げることのできない恐ろしい機内。
阻止できない死に、抗うような恋という生きる力が、最高のコントラストを示していました。
<まとめ>
人に薦めたい映画です。
言えばストーリーに既視感はあるっちゃあります。こういうゲームしたことあるなって。しかし映像美と演技と演出が何にも増して素晴らしい。
自分もたまに航空機に乗りますが、死ぬ前にアンハサウェイが横に座ってたらそりゃいいよなーとアホなことを考えました。